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データ圧縮の際のSCP-XXX-JPの描画ウィンドウの様子1

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは財団中央情報センターのサーバー内にレベル4情報プロテクトをかけた状態で保存され、これ以外の財団内における長期保存データが存在しないようにして下さい。データのコピーはレベル4のセキュリティクリアランスを持つ職員の許可により行い、実験は必ずローカルのコンピュータ上で行って下さい。実験終了後、使用したコンピュータのストレージ及びコピーに用いた記録媒体は溶解処理を行って下さい。SCP-XXX-JP及び流失した可能性のある既知のSCP-XXX-JP-1のについて、世界中のアンチウィルスソフト開発元に対してコンピュータウィルスの判定リストデータとして加えることを義務付け、発見時に通報するバックグラウンドプロセスの搭載を義務付けます。これに加え、RAISAとフィールドエージェントによるあらゆる情報機器に対するSCP-XXX-JP及びSCP-XXX-JP-1の捜索が継続的に行われます。

説明: SCP-XXX-JPは異常な性質を持つデジタルデータの圧縮・解凍ソフトウェアです。データドライブ上では"Mandelbrot_compression.bin"という██.█MBのバイナリ形式のファイルですが、GUI2を起動中のあらゆるOS上でファイルを実行すると、OSに依存したレイアウトの同一の機能を持つウィンドウが立ち上がります。SCP-XXX-JPは最低でも倍精度で2.0G FLOPS以上のCPUかつ256MB以上のDRAMの環境3であれば問題なく動作し、暗号化するファイルのサイズに上限はありません。インターフェイス上の文はOSの言語設定に準拠した文字で書かれており、立ち上げ時に圧縮モードが解凍モードかを選択する画面が表示されます。

圧縮モードでは、インターフェイス上には暗号化するファイルと出力ファイルのパスを入力するカラム、実行ボタン、白い描画ウィンドが表示されています。双方のパスを入力し実行ボタンを押すと、描画ウィンドウ上に横軸で-2から1、縦軸で-1から1までの範囲のマンデルブロ集合4が最初に表示されます。以降複素平面5上の一点に向けてズームを行うアニメーションが表示され、一定時間経過後ズームが停止し、同時に出力フォルダにSCP-XXX-JP-1に指定される.mandという拡張子の圧縮ファイルが生成されます。解凍モードにおいても同様のレイアウトのインターフェイスが表示され、入力ファイルにSCP-XXX-JP-1を指定したときのみ実行可能です。暗号化時と異なり、復号化の実行後は瞬時にズーム状態のマンデルブロ集合が表示され、解凍されたファイルも同時に生成されます。

SCP-XXX-JP-1は可変のファイルサイズのデータです。SCP-XXX-JP-1はヘッダ部以外に任意倍精度の2つの複素数と一つの整数6を格納しており、整数の長さ分の数列7を表しています。この数列をマンデルブロ集合の計算を用いた一定の手順8で整数の数列に変換した時、出力された数列を2進数に変換して先頭の1を取り除いたものは圧縮元のデータと一致します9。この際漸化式の計算をヘッダで指定された任意倍精度で計算しなければ正確なデータとはなりませんが、この性質によりSCP-XXX-JP-1はSCP-XXX-JPを用いずとも通常の計算機での解凍が可能です。また、この圧縮方法によりSCP-XXX-JP-1は元データのサイズに対して圧縮率が指数関数的に増加し、大容量のデータであるほど高効率で圧縮することが可能です。SCP-XXX-JP-1の生成アルゴリズムについては不明ですが、仮に総当りでの計算を行った場合、財団の持つ最高の情報処理システムの全リソースを用いたとしても1GBのデータの圧縮には█.█×10████年の時間がかかると試算されています。

SCP-XXX-JPは内部データの解析の結果既知の如何なる命令セットとも対応が取れず、あらゆるアルゴリズムの解析の試みは失敗しています。また実行中のプロセスの解析でも漸化式の計算の痕跡は発見されず、描画データや出力ファイルが突然メモリ上に現れることが確認されています。このことから、SCP-XXX-JPは未知の演算装置のリモートインターフェイスであると考えられています。しかし、現在までにSCP-XXX-JP実行中のコンピュータからのあらゆる種類の信号の検出に失敗しています。また、この理由から情報漏洩の可能性が否定出来ないため、SCP-XXX-JPを用いた財団内部情報のデータ圧縮は禁止されています。実験において圧縮を行う場合は出来る限り乱数データを使用し、どうしても有意なデータの圧縮が必要である場合は公共性の高いデータを用意して下さい。

補遺1: SCP-XXX-JPは2010/10/14、███社のデータアーカイブ用サーバー上で発見されました。出現時のアクセス記録や監視カメラの映像には不審な点は見当たらず、サーバー上のデータ更新時間はファイルが突然出現したことを示しています。データ発見後すぐさま米国政府を介した███社との協定により、異常なデータとして財団へと管理が引き継がれました。その後の調査と実験によりSCP-XXX-JPの性質が判明し、財団のインターネット監視網他のSCP-XXX-JPの存在が確認されなかったため、Safeクラスオブジェクトとしての収容が決定しました。

SCP-XXX-JPを通して計算を行っているシステムの能力、或いはそのアルゴリズムの特殊性を除けば、SCP-XXX-JPは一見単なる便利なデータ圧縮方法として見えるだろう。しかし、このオブジェクトの本質はそこではない。圧縮に上限がないという事実と、SCP-XXX-JP-1が我々の手でも解凍可能であるという事実が、マンデルブロ集合が実際にこの世界のあらゆる情報の取りうるパターンを予め包括しているという可能性を示しているということだ。即ち、このたった二行の数式から生み出される無限のパターンの中には、たかだか有限の可能性しか取り得ないのこの宇宙10の過去から未来までの全ての情報、いわゆるアカシックレコード11が既に含まれているかもしれないのだ。マンデルブロ集合を正確にこの宇宙に再現する方法は存在しないためこの仮説を証明する手段はないが、SCP-XXX-JPを作り上げ、その動作中に何処かで計算を行っている者が居るとすれば、その存在はこの無限の記録の中から宇宙の全てを引き出すことすら可能なのかもしれない。 —██博士

補遺2: 20██/██/██、複数のP2Pファイル共有サービスにおいて、大量のSCP-XXX-JP-1が"謎の暗号データ"として流通しているのが発見されました。発見は一次放流の時刻から5時間後であり、経由サーバーやクライアントのローカル及びキャッシュ上の殆どのコピーの削除には成功しましたが、未だに幾つかのコピー先の追跡は成功していません。また、一次放流者の追跡は、経由したと思われるプロキシサーバーの盗難12により失敗しています。これらのデータを解凍したところ、個人情報から大企業や国家の機密情報まで多岐に渡っており、拡張子の特徴もありダウンロードした者は解凍に成功した可能性があります。未収容のSCP-XXX-JPを保有し、多くの機密情報を保持する未知の団体が存在する可能性が浮上したため、オブジェクトクラスのEuclidへの格上げと現在の特別収容プロトコルの策定が行われました。


全リストの参照には、レベル4以上のセキュリティクリアランスを持つ職員の許可が必要です。

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